2019年6月1日〜2019年6月25日までネパールを旅した記録です。
▼「ネパールより」全話はこちらから
https://kyoutabini.com/wp/category/travel/ネパール/
カトマンズより
タイでの長い長いトランジットが終わり、現地時間9時にネパールの空港に到着した。
空港に着くとすぐに、タクシードライバーに声をかけられた。
「どこから来た?」
「宿の予約はどこだ?」
「ネパールは初めてか?」
すぐにネパール人数人に囲まれて、どうしていいかからずに空港に引き返してしまった。
どうしていいかわからず、友人の紹介で知り合ってネパールに住んでいるという日本人にLINEをしてみる。
すぐにLINEの返信が返って来た。iPhoneの通知が無事に届いただけで少し安心した。
どうやら、宿があるタメル地区までにはタクシーで500ルピーから800ルピーが相場らしい。
もう1度、さっき話しかけて来たタクシーのおっちゃんに声をかける。
でもどうやって声をかけていいかわからず、おっちゃんの肩をツンツンして、「エイトハンドレット」とだけ伝えた。
するとおっちゃんは「オッケー!」と笑っていた。
タクシーのおっちゃんは当然のように予約のある宿の目の前で車を止めて、大きな声で「Arraived!!」と叫んだ。
宿にチェックインを済ませた後、すぐにタメルの町を歩きたくなった。
カトマンズの中心地タメル地区には多くの観光客が集まり、安宿・土産物屋・レストランがギチギチに立ち並んでいる。
6月はネパールでも雨期に入っていて、空気は霧がかかったように不透明だったけど朝に特有の空気の軽さがあった。
路上にはマーケットが広がり、野菜やパンや日用品まで全てのものが揃ってしまう。
見るもの全てが新鮮であまりにも町歩きが楽しい。
ふらふらと、カメラ片手に歩いていると「こんにちは!」とネパール人に声をかけられる。
「日本語が流暢な地元民には気をつけろ」というのが旅の常識だけど、好奇心に負けて彼に「チヤ(チャイ)屋知ってるか?」と聞いてみた。
「おすすめがあるよ」と言うので彼について行く。
5分ほど歩くと、鍋にガスコンロが置かれた場所に着いた。
屋根もなければ鍋を囲むようにおっちゃん達が座り、朝からだべっているだけの場所だ。
ここに座れと促され小さな椅子に座ると、何も言わずともチヤが出てくる。
チヤはネパールティーとも呼ばれていて、茶葉とマサラとミルク、そしてたっぷりの砂糖を一緒に煮込んだミルクティーだ。
真っ黒に焦げ付いた鍋で煮込まれて、汚いグラスに注がれたチヤを手渡された。
日本にいたら、こんなもの絶対に口にしないけれど、ここはネパールだ。
郷に入れば郷に従うしかない。
一口すすると濃厚なミルクと、きつめのスパイスの相性が抜群ですごく美味しかった。
このあといろいろな場所でチヤを飲んだけど、このチヤが一番おいしかった。
当然のごとく二人分のチヤ代を払わされまた彼と歩き出す。
彼が突然言い出す。「今日は楽しかったか?」
「イエス。楽しかったよ。」と答える。
「お前を楽しませてやったんだ。ギブミー、マニー」と言い出す。
「これがダルマだ。お前は俺に恩返ししなくちゃだ。」と。
ヒンドゥー教ではダルマ(カルマとも言う)という考え方があるらしい。
ダルマはインド哲学や宗教で中心となる重要な観念である。ヒンドゥー教や仏教、ジャイナ教における多種多様な意味がある[7]。この言葉に長く多様な歴史があり複雑な一連の意味と解釈にまたがる為にダルマに対して単一の簡潔な定義を示すのは困難である。
因果応報の法則を指し、輪廻転成などの考え方にも繋がっているらしい。
どうせそんなことだろうと思ったけど、少しだけがっかりしてこう言った。
「僕はヒンドゥー教じゃないんだ、ごめんね」
彼は何度か「マニー!マニー!」と言っていたけれど、ぼくがバイバイと手を振ると、彼は潔く諦めたのか肩を落として帰っていった。
もしも世界が因果応報なら、ぼくの旅はどこかにつながっているのだろうか。
なんて考えながらぼくも宿に帰った。
スポンサーリンク
コメントを残す